「ふくそうげんぞう」改め「かぜみつる」よりごあいさつ [のはらうた]
昨年末まで朝日小学生新聞に連載されていたコラム「ときどきのうた」は、4月から毎日新聞・本紙に「まいにちのうた」となって隔週で掲載されることになりました。
詩を選んで選評を書くのは、「かぜみつる」こと田中和雄です。
ぼくたちは人間ですが、心のなかで蝶になったりライオンになったり、桜の木になることができます。靴になったり、パンになったりもできますよ!
そうやって自分ではない「だれか」「なにか」になって詩を書いて、毎日新聞に送ってください。楽しみに待っています。
毎日新聞・朝刊2012年2月19日付
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詩を選んで選評を書くのは、「かぜみつる」こと田中和雄です。
ぼくたちは人間ですが、心のなかで蝶になったりライオンになったり、桜の木になることができます。靴になったり、パンになったりもできますよ!
そうやって自分ではない「だれか」「なにか」になって詩を書いて、毎日新聞に送ってください。楽しみに待っています。
【みなさんの詩を募集します】
●小学生を中心とした子どもたちが応募できます。
●作品と題名、なりきったものの氏名(例:かまきり りゅうじ)、
郵便番号・住所・お名前・電話番号・学校名・学年・年齢・性別
——— 以上を書いて、下記にお送りください。
●送り先:〒100-8051(住所不要)毎日新聞生活報道部「まいにちのうた係」
●締め切りはなく、応募作品は返却しません。
●掲載作品の著作権は毎日新聞社に帰属します。
●掲載した人に、工藤直子さんのサイン入り『のはらうた』を贈ります。
●毎日新聞のほか、インターネットサイト「毎日.jp」にも掲載します。
毎日新聞・朝刊2012年2月19日付
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「のはらうたⅤ」が野間児童文芸賞を受賞 [のはらうた]
講談社のNさんから今年の野間児童文芸賞に くどうなおこさんの「のはらうたⅤ」が受賞したという連絡を貰って、子どものように心がはずんだ。授賞式は12月17日だが、その前に記者発表をするというので、11月7日(金)の夕方、帝国ホテルに行った。記者発表は くどうさんの受賞を喜ぶあいさつのあと、何人かの記者から質問があり、そのあと乾杯してパーティーがあり、不覚にも酔い、我を忘れて気がつくと夜の10時を回っていた。
黒田三郎の詩に「僕はまるでちがって」という恋唄がある。なるほど自分はなにもかも昨日と同じなのだが、それでも僕はまるでちがってしまったのだ。と唄ったあと、
ああ/薄笑いやニヤニヤ笑い/口をゆがめた笑いや馬鹿笑いのなかで/僕はじっと眼をつぶる/すると/僕のなかを明日の方へとぶ/白い美しい蝶がいるのだ。
白い蝶こそ見えなかったが、はなやかな宴に「僕はまるでちがってしまった」。
「のはらうたⅠ」は今から24年前に出た。同賞は今年で46回目になるが詩人が受賞したのは、まど・みちおさんと谷川俊太郎さんでくどうさんは三人目という。童話屋は、凡そ賞とは無縁だっただけに、週が明けた今日になってもまだ実感がわかない。
なお、記者会見は野間賞の決定順ということで、くどうさんが一番。二番目は町田康さん野間文芸賞。三番目に津村記久子さん野間文芸新人賞とつづいた。
黒田三郎の詩に「僕はまるでちがって」という恋唄がある。なるほど自分はなにもかも昨日と同じなのだが、それでも僕はまるでちがってしまったのだ。と唄ったあと、
ああ/薄笑いやニヤニヤ笑い/口をゆがめた笑いや馬鹿笑いのなかで/僕はじっと眼をつぶる/すると/僕のなかを明日の方へとぶ/白い美しい蝶がいるのだ。
白い蝶こそ見えなかったが、はなやかな宴に「僕はまるでちがってしまった」。
「のはらうたⅠ」は今から24年前に出た。同賞は今年で46回目になるが詩人が受賞したのは、まど・みちおさんと谷川俊太郎さんでくどうさんは三人目という。童話屋は、凡そ賞とは無縁だっただけに、週が明けた今日になってもまだ実感がわかない。
なお、記者会見は野間賞の決定順ということで、くどうさんが一番。二番目は町田康さん野間文芸賞。三番目に津村記久子さん野間文芸新人賞とつづいた。
ときどきのうた [のはらうた]
6月に入ったら、子どもたちから「ときどきのうた」(朝日小学生新聞の一面に週一回掲載)の応募作品が、どさっと来た。昨年まで「のはらうた大賞」をやっていて6月が締め切りだったので、小学校からの団体応募の部厚い封筒が届くことは予想していた。一つの封筒に200も300も入っている。とり出すときにジーンとくる。子どもが詩(のはらうた)を書いたという、そのことだけで胸が熱くなる。
ぼくは編集者を忘れて、のはらむらの長老、ふくろうげんぞうに変身する。目も耳も頭も手もふくろうげんぞうになりきって、子どもがつくる「のはらうた」を読む。
いい詩を見つけるとすぐに紹介したくなるが、朝日小学生新聞をだし抜くわけにはいかない。
そこで5月5日に載った分を紹介しよう。
小学4年の男の子の詩。タイトルは「かにのおうだん」。作者は「ながれつよし」
あっ さわがに
ぼくのつめたいおなかを
ちょこちょこ
よこぎる
ながされるなよ
こけるなよ
むこうぎしまで
がんばれよ
なんと作者は、「川の流れ」だ。
おなかは冷たかろうし、そこをちっちゃな沢がにがちょこちょこ横切ったら さぞくすぐったいことだろう。
子どもが「川の流れ」になりきると、詩が生まれる。子どもの心に、詩人が住んでいるのだ。
ぼくは編集者を忘れて、のはらむらの長老、ふくろうげんぞうに変身する。目も耳も頭も手もふくろうげんぞうになりきって、子どもがつくる「のはらうた」を読む。
いい詩を見つけるとすぐに紹介したくなるが、朝日小学生新聞をだし抜くわけにはいかない。
そこで5月5日に載った分を紹介しよう。
小学4年の男の子の詩。タイトルは「かにのおうだん」。作者は「ながれつよし」
あっ さわがに
ぼくのつめたいおなかを
ちょこちょこ
よこぎる
ながされるなよ
こけるなよ
むこうぎしまで
がんばれよ
なんと作者は、「川の流れ」だ。
おなかは冷たかろうし、そこをちっちゃな沢がにがちょこちょこ横切ったら さぞくすぐったいことだろう。
子どもが「川の流れ」になりきると、詩が生まれる。子どもの心に、詩人が住んでいるのだ。