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【新刊】茨木のり子さん さいごの詞華集 [出版]

わたくしたちの成就表1オビ付.jpg

谷川俊太郎さんに「あとがき」をお願いしました。

谷川さんは、「詩では私人ではなく公人であることを志した茨木さんが、死後発表を許した『歳月』を含む本書は、一途に愛する<私>を貫いたひとりの女性の生が、詩というかたちによって<公>となった、現代では稀な混じり気なし愛の詩集です」と評しました。
その「混じり気なしの愛の詩集」という言葉を詩集のオビに使いたい、とお願いしましたら「うん、そのつもりでぼくも書いたんだよ」とおっしゃいました。谷川さんは一流のコピーライターでもあります。

事実上、この『わたくしたちの成就』が、童話屋が出版する茨木のり子さんの詞華集の最後の作品になります。
タイトルの「わたくしたちの成就」は、冒頭詩「急がなくては」から採りました。「死にたい、もう生きるのに飽きました」と生前口にしていたのはほんとうの気持ちでした。早く死んで、早く亡き夫、安信さんが眠る鶴岡に行ってそのかたわらで眠りたい、と、童女のように書きました。

詩人として功成り名を遂げ、一方で一女性として安信さんに一目惚れして愛を全うした。まさに河合隼雄さんがおっしゃるとおり、自己実現も自我実現も果たした、特筆に値する人生なのでした。

この詞華集には「ばかものよ」も「倚りかからず」もありません。まさに「混じり気なしの愛の詩集」そのものです。

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